法務局における遺言書の保管に関する法律「遺言書保管法」が平成30年7月6日に成立、7月13日公布され、令和2年(2020年)7月10日から法務局(遺言書保管所)において、自筆証書遺言を保管してもらえる制度が始まりました。ここでは、法務局での遺言書保管制度の特徴と注意点、タイプ別の遺言書の作成件数の比較、弊事務所がおススメする遺言のタイプについてご説明致します。
1. <法務局での遺言書保管制度>ー特徴
- 令和2年7月から開始
- 遺言書保管所となっている法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる。
- 遺言書の紛失、相続人や利害関係者による隠ぺい、改ざんを防ぐことができる。
- 相続開始後に、家庭裁判所による検認は不要。
- 相続開始後相続人等は、法務局において遺言書を閲覧したり、遺言書情報証明書の交付を受けることができる。
2. <法務局の遺言書保管制度>ー注意点
- 遺言者自身が、顔写真付き身分証明書を持参し、予約の上遺言書保管所となっている法務局まで赴く必要がある
- 法務局の職員(遺言書保管官)は外形的なチェックしか行わない。⇒自筆証書遺言を作成するならば、遺言書作成にあたり、事前に法律に関する士業(弁護士、司法書士、行政書士)に相談した方がよい。
3. 遺言書の作成件数の比較
遺言作成者は、令和4年では公正証書遺言で11万1977件
自筆証書遺言検認件数は平成29年で17,487件
法務局遺言書保管制度は令和4年で16,764件
亡くなる方の約8%の件数しか遺言は作られていませんが、揉める件数は増加しています。
4. オススメする遺言のタイプは?
公正証書遺言 です。
有効な遺言を作成するには、満15歳以上かつ、意思能力が必要となります。意思能力とは、自分の法律行為の結果が理解でき、判断できる能力のことをいいます。
公正証書遺言は、遺言者が、公証役場に赴き、公証人+証人2人の立会のもと、作成します。
一方、自筆証書遺言は、自分だけで作成するため、とくに高齢時に作成したものは、遺言作成時点の意思能力がどうであったかを確認することが難しくなります。
あの時お父さんは少し認知症だった・・と誰かが言い出すと遺言の有効性を示すのが難しいです。
遺言が効力を発揮するのは、本人が亡くなった後であり、遺言作成の「真意」を、もはや本人に確認することはできません。
弊事務所では、遺言作成時の意思能力があったことを担保し、後々の争いを避けるためには公正証書で遺言を作るほうがよいと考えています。