埼玉県で一般建設業許可の取得をはじめて検討される方向けに「建設業許可取得の要件」について解説した動画を作成しました。ぜひご覧ください。

建設業を営もうとする方は、元請人、下請け人、個人、法人の区別に関係なく、軽微な工事を除いて、建設業法による許可を受けなければなりません。また、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合であっても、電気工事業、浄化槽工事業、解体工事業は、工事の内容から、ご近所の方にも多大な影響を与える可能性があることから、それぞれ電気工事業法、浄化槽法、建設リサイクル法で登録・届出制を定めていますので、注意が必要です。許可が必要ない者は「建設業を営む者」、許可を受けて建設業を営む者は「建設業者」と呼ばれます。

↓以下の場合には建設業許可が必要となります。
建築一式工事1500万円以上(消費税込)の工事 or 延べ面積が150㎡以上の木造住宅工事
それ以外の工事1件の請負代金(工賃、発注者が用意した材料費、運賃込)が500万円以上(消費税込)

無許可で許可が必要な工事を行った場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金かその両方に課せられます(建設業法第47条)。昨今、行政においても軽微な建設工事を行うリフォーム業者についての消費者相談が増えていることから、監督を強化する検討が行われているようです。また、個人がリフォームローンを組む時、借入先の銀行から建設業者の許可取得の有無を問われたり、元請業者の社内コンプライアンスの一環で下請け業者に、許可取得を促す事案も増えてきているようです。建設業許可を取得することで、受注機会の増大、取引先や金融機関からの信用力向上など、ステップアップの可能性が高まります。

1. 建設業許可取得(埼玉県知事・一般建設業)の流れ

1. 知事許可、大臣許可のどちらに該当するかを判断する
2つ以上の都道府県に営業所がある場合⇒国土交通大臣の許可を取得します
一つの都道府県のみに営業所がある場合⇒都道府県知事の許可を取得します(建設業法第3条1項)

例えば、埼玉県内に本店、東京都内に支店がある場合には国土交通大臣の許可が必要です。菅工事業と消防施設工事業の2業種について埼玉県知事許可を受けている場合、菅工事業について群馬県で新たに営業所を設けて営業しようとする場合は、取得した菅工事業、消防施設工事業の2業種とも国土交通大臣許可を受けなければなりません。(同一の建設業者が知事許可と大臣許可の両方を受けることはできないため)建設工事自体は、営業所の所在地に関わりなく、他府県でも行うことができます。
2. 許可をとりたい業種は何かを確認する
建設業許可は業種別に許可取得が必要であるため、許可が必要な業種が複数ある場合は、それらのすべてにおいて許可を受けなければなりません。ただし、本体工事に付帯する工事(建設業法4条)については、本体工事と併せて請け負うことができる場合があり、この付帯工事を実際に施工する場合には、その業種の許可を受けた建設業者に下請に出すか、自分で施工するならその業種の許可を受けるために必要な技術者を自ら置いた場合だけ施工できることになります。付帯工事の例としては、主たる工事が建物の外壁塗装(塗装工事)の場合の足場工事(とび・土木・コンクリート工事)です。また、一式工事に係る業種の取得があっても、各専門工事に係る業種の許可がない場合には、500万円以上(消費税込)の専門工事を単独で請け負うことはできません。
3. 一般建設業許可、特定建設業許可のどちらに該当するかを判断する
1件の元請工事につき、合計※4500万円以上(建築一式工事については7000万円以上)を下請けに発注する場合は特定建設業の許可が必要です。
※令和5年1月からの変更
それ以外の場合は一般建設業の許可を受けることになります。特定建設業は下請業者の保護のため、専任技術者や財産的基礎の要件が厳しくなっています。一つの業種については一般建設業と特定建設業のどちらかの許可を選択して申請します。
つまり、元請にならない、もしくは元請になるが下請に4500万円以上出さない、二次下請け以降に出すことはあるが自分は元請にはならない、という場合は一般建設業許可でよいことになります。
一般と特定は業種(29業種)ごとに判断することになります。
4. 建設業許可の要件を確認する~次のすべてを満たす必要があります
【1. 営業所があること】:建設工事の請負契約の見積もり、入札、契約締結を行う事務所があること。常勤役員や専任技術者が常勤していること。自宅兼事務所でも居住部分との独立性が保たれているなど要件を満たせばOK

【2.欠格要件に該当しないこと】:法人ならば役員全員が、個人ならば事業主が、(つまり経営の決定権を握る層が)、不正な行いにより許可を取り消されて5年を経過しないものであったり、禁固以上の刑に処せられて5年を経過していないものであったり、暴力団員の場合は建設業の許可を得ることができません。

【3.請負契約について誠実性があること】:法人ならば法人や役員等、個人ならば事業主が、請負契約の締結又は履行に際して、詐欺・脅迫・横領等を行ったり、工事内容・工期等について、請負契約に違反するおそれのないものである必要があります。

【4. 適切な社会保険に加入していること】:許可を受けようとする者は、適用除外になる場合を除いて、適切な社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)に加入していなければなりません。

【5.請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用があること】:一般建設業許可の場合、次のいずれかに該当することが必要
① 自己資本の額が500万円以上であること②500万円以上の資金を調達する能力を有すること

【6. 専任技術者~許可を受けたい業種の技術者が営業所ごとに専属でいること】:一般建設業許可の場合、次のいずれかに該当することが必要
①【指定学科+実務経験(大学の場合3年以上、高校の場合5年以上)】
②【実務経験10年】
③【資格保有】許可を受けようとする業種に関して一定の資格

【7.経営業務管理責任者~建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を備えていること】常勤役員のうちいずれかが一人が、建設業に関し(許可を受けようとする建設業以外もOK)に関し、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験があること。5年以上建設業に関する経営を行ったことのある方がいらっしゃらない場合、組織として体制を整えることで要件を満たすことができる場合があります。
5. 必要書類を集め、申請書類を作成し、許可行政庁に申請する。
弊事務所にご依頼ください

2. 許可後の注意事項①~変更があれば所定の期間内に変更届の提出を

(1)変更後2週間以内:経営業務管理責任者等や専任技術者の変更、従たる営業所の代表者の変更等(2)変更後30日以内:役員等の変更、営業所の所在地の変更、従たる営業所の新設、役員の改姓、廃業届

3. 許可後の注意事項②~毎年必ず、事業年度終了報告書の提出が必要

毎年の決算終了後4か月以内に事業年度終了報告書を提出していることが必要です(建設業法第11条)

4. 許可後の注意事項③~許可は5年ごとに更新の申請が必要

取得した許可の有効期間は5年間です。更新の申請は、有効期間が満了する日の2か月前から受付で30日前までに許可の更新の申請をしなければなりません。更新するときには、事業年度終了報告書を提出していることが必要です。

5. 公共工事を直接請け負おうとするときは、経営事項審査申請

公共工事を直接請け負おうとする建設業者の場合、経営規模、財務内容などの経営に関する審査が義務付けられています(建設業法第27条の23)。公共工事を受注する場合、請負契約締結日時点で有効な結果通知書が交付されている必要があります。有効期間は直前の決算日から1年7か月間ですので、たとえば令和5年3月末が決算日の法人の場合、令和6年10月末に期限切れとなりますので、毎年公共工事を受注しようとする場合、有効期限切れをしないように、毎年決算後速やかに受審する必要があります。経営事項審査申請をし、埼玉県内の場合は2年ごとに、決められた期間内に競争入札に参加します。入札に間に合わなかった場合、随時募集があった時に申請することができます。