建設キャリアアップシステム(CCUS)の現場利用と技能者の能力評価手続きを進めるためには、下請けとなる専門工事業者の更なる登録促進が課題となっています。弊事務所ではCCUS登録行政書士が建設業者様のCCUS登録を代行致します。

CCUS登録行政書士とは、CCUSの実務講習を受講し、CCUS事業者及びCCUS技能者申請の代行申請を行う者として、CCUSのホームページにおいて公表されている行政書士です。

1.建設キャリアアップシステムの目的

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積する仕組みです。技能者が、能力や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備し、将来にわたって建設業の担い手を確保することを目的としています。システムの構築に向け官民で検討を進め、2018年春、技能者・事業者の登録を開始、2019年4月本格運用を開始しました。

建設業は、人の命を守る(安全・災害復旧)、豊かな生活を確保する(経済を支える)、暮らしを創る(インフラを整備する)という非常に重要な役割を担っていますが、建設業では仕事が多いにも関わらず、人手不足と高齢化が他の産業より進展しています。建設業就業者数は1999年には685万人でしたが、2022年には479万人となっています。また、建設業界に入職する若者は他の産業より少なく、高齢者が他の産業より多い状況となっています。(↓下図は他産業と比較したときの建設業就業者の55歳以上、29歳以下の割合を表したもので、建設業デジタルハンドブックより。)

東日本大震災、熊本地震、能登地震、各地で相次ぐ豪雨など、近年自然災害が頻発、激甚化する我が国で、建設業は震災からの復興、防災、減災、老朽化対策、インフラの維持管理など、その役割と重要性は益々増しています。しかし、建設業界は、依然として他産業に比べ労働時間が長く、現状完全な週休2日制にはなっていないこと、賃金も高いとは言えないこと、等により若者の就職希望先として他産業より不利ともいえる状況となっています。このままでは、日本の建設労働者の数は大きく目減りしてしまいます。都内の新築マンションは2023年平均価格が1億円を超えましたが、資材価格の高騰に加え、建設労働者の時間外規制の適用、受給のミスマッチ(良い職人さんの奪い合い、職人さんへの賃金の上昇)により、建設コストは高い水準で推移すると見込まれています。家を買いたくても高すぎてなかなか買えない、マンションを修繕しようとしても、修繕積立金が不足しており、修繕がなかなか進まない、家をリフォームしようにも、以前より多くの費用がかかり、簡単にはリフォームに踏み切れない、外国人を雇用しようにも、日本より賃金の良い韓国など他の国に取られてしまうなど、建設人材の不足は、私たちの生活に非常に深刻な影響を与えます。

建設キャリアアップシステム(以下、CCUS)は、技能者の資格や、社会保険加入状況、現場の就業履歴などを業界横断的に、登録・蓄積する仕組みです。技能者のレベルが明確になることで能力が請負代金に反映され、そして技能者の賃金上昇につながることを目指しています。CCUSの能力評価に応じた賃金の実態を踏まえ、公共工事設計労務単価が賃金として行き渡った場合に考えられるレベル別年収を試算し公表しています。年収試算の公表を通じて、技能者の経験に応じた処遇と、若い世代がキャリアパスの見通しを持てる産業を目指しています。

「レベルが上がるということ」=「資格を取るということと経験値が上がるということ」なので、「資格給」ということでお給料に反映させる事業者もあるようです(リンク:建設人材育成優良企業表彰 国土交通大臣賞 受賞者一覧優秀賞 受賞者一覧)。色々な資格を取得し、経験を積み、切磋琢磨して技能者として成長することが期待されています。建設業界に若い人が入職したいと思ってもらえるようにするために、官民をあげて普及を推進しているのがCCUSなのです。外国人技能実習、特定技能の受け入れには建設キャリアアップシステムCCUSへの登録が義務化されています。CCUSへの登録がますます重要になってきます。

↑建設業セミナー2024(2024/4/15)での国土交通省 不動産 建設経済局 建設市場整備課 建設キャリアアップシステム推進室長 松野様資料より引用↓

2.CCUSの利用状況と普及促進への取組

2019年の運用開始以来、2024年で5年が経ちましたが、今では技能者の138万人(技能者の約1/3)、事業者の25.6万社(事業者の半分超)がCCUSに登録し、現場での利用数は月400万件タッチとなっているようです。しかし、現場でしっかり【カードタッチを行い】→【能力評価レベル判定】→【処遇改善への道】はまだまだ道半ばのようです。そこで公共工事のモデル工事ではCCUSの利用が評価で加点される仕組みや、経営事項審査ではCCUSで現場・契約情報を登録し、入退場履歴を記録する体制があれば加点される仕組みが始まっています。また、導入コストや手間暇を抑えるための取組として、1台あたり約3500円の安価なカードリーダーも新たに利用できるようになったり、2024年1月からは建レコがインストールされた iphoneの裏にCCUSカードをタッチすることで就業履歴が蓄積されたり、電話をかければ就業履歴を蓄積できるキャリアリンクの簡易版の初期費用を無料にするキャンペーンも行われています。さらに、CCUSだけで施工体制台帳の作成が完結するよう、施工体制台帳の作成に必要な情報を追加登録できるよう機能が拡充され、CCUSで、施工体制台帳、施工体系図、下請負業者編成表、再下請通知書、作業員名簿も作成可能となっています。↓下図はタッチ数、技能者登録数、事業者登録数の推移を表したもので、建設業デジタルハンドブックより。

3.CCUSのメリットと現場利用の基本的なフロー

技能者、専門工事会社、元請にとって以下のメリットがあり、CCUSの利活用を通じて、建設業界全体で、技能者の処遇改善・賃金アップ、若者の入職者を増やすこと、施主に対する価格交渉力アップ、より透明性の高い業界になることを目指しています。CCUSの普及活用のための官民施策パッケージが定められ、令和5年度から「あらゆる工事でのCCUS完全実施」に向けて、具体策と道筋が示されており、今後建設業界においてCCUSを活用することが当たり前となってくるという方向性が示されています。

メリット費用
(1)技能者にとって➀能力に応じた賃金の目安を設定することにより、賃金水準の引き上げを図ります。国交省が公表しているレベル別年収と自身の年収を比較して、適切な賃金をもらえるよう交渉していくことができます。
リンク:CCUSの能力評価等を反映した手当支給


②勤務先が変わっても今までの経験や経歴を証明できるよう、能力や経験に関する情報を蓄積できる仕組みになっています。


➂カードタッチで建退共の掛金を積み立てる手続きが容易になります建退共の電子給付)。
●登録料(詳細型)が4900円かかる(10年有効)。
なお登録時に60歳以上の方の有効期限は14年。
簡略型は2500円で済みますが、能力評価制度(レベル判定)が利用できないのであまりオススメしません。
(2)事業者にとって【専門工事企業】
➀自社が雇用する技能者の保有資格や社保加入状況が明らかになり、取引先からの信頼が得やすくなります。

②CCUSの技能者の能力評価制度を活用し、施工能力を基礎情報、施工能力、コンプライアンスの点で4段階で評価見える化することができます。
技能者を雇用、育成する専門工事企業が、発注者や元請、ハローワーク等に情報発信し、受注機会や入職者確保等につなげることができる。厚労省の後押しもありハローワークでも、CCUS登録事業者の求人への応募を勧奨。

➂出面(デズラ)管理をIT化できます。


【元請】
➀初めて仕事をする業者の実力や技能者の資格等の確認がスムーズにでき、技能者の情報が確認できることで施工の安心感につながります。(社保加入状況、安全衛生資格保有の有無、一人親方の労災特別加入状況)

②現場管理の効率化:入退管理システム(建レコ、グリーンサイト、キャリアリンク)とAPI連携し、技能者の就業状況等を容易に確認できるようになります。

➂施工体制台帳や、作業員名簿をCCUSから出力でき、書類作成を簡素化できるようになります。

④建退共事務の効率化:CCUSに蓄積されたデータを取り込み、就労実績ファイルを作成することで建退共の退職金ポイントが技能労働者に対して直接付与されるので、証紙購入や交付が不要となります。

⑤外国人労働者の資格等の確認が容易にできるようになります。特定技能の外国人材の受け入れにはCCUSへの登録が必須

●公共工事の受注にはCCUSの登録活用が必須
●経審、発注者別競争参加資格審査、総合評価、工事成績評定でCCUSの活用が加算
●登録料がかかる。
資本金の額に応じ6,000円~240万円 一人親方はかからない。
●毎年管理者IDがかかる。
1IDにつき11,400円 一人親方は2,400円
●システムにおいて現場・契約情報を登録した事業者(元請事業者)に対し1人日・現場あたり10円の現場利用料がかかる。
例)20 人の技能者が50 日就業した場合 20人×50日×10円=10,000円

【CCUSの現場利用の基本的なフロー】

(1)元請事業者・下請事業者・技能者の情報の登録と登録料の支払・・・弊事務所で登録代行できます
事業者の所在地や資本金、業種や社保加入状況についてまず登録を行ったあと、技能者について所属事業者、職種、社保加入状況、資格等を登録します。技能者登録が終わるとカードが取得できます。
(2)元請の現場・契約情報の登録
元請事業者として現場を開設する事業者は、現場を開設する際に現場・契約情報を登録する必要があります。
(3)元・下の施工体制登録元・下の施工体制技能者登録
元請と各下請で招待・承認しあって施工体制登録を行い(元・下の施工体制登録)、各下請事業者は、自社に所属する技能者の情報(職種、保有資格、立場、作業内容等)を登録する必要があります。(元・下の施工体制技能者登録
※下請の中にCCUSに事業者登録をしていない事業者(仮にB社とします)が含まれる場合は、その事業者名のみを施工体制登録します。CCUS未登録事業者(B社)の下位にCCUS登録事業者(仮にC社とします)が含まれる場合は、B社の上位の事業者(仮にA社とします)が直接C社を招待します。
(4)就業履歴の蓄積
現場の登録、施工体制の登録という作業を経て、就業履歴を蓄積することで、いつ、どの現場で、どの職種で、どの立場で働いたのか、日々の就業実績として電子的に記録・蓄積されます。
【利用するために必要なモノ】
➀事業者ID、技能者ID(カード)②現場運用マニュアル、③カードリーダー(建レコなど)、④パソコンまたはipadなど
※正しい就業履歴の蓄積のために、事業者は所属する技能者が正しく登録されているか事前に確認してください。
★注意点は・・
カードリーダー等にタッチしただけでは能力評価に有効な就業履歴の蓄積とはならず、技能者の能力評価には以下の登録が必要!
  • 所属事業者の事業者登録(申請から事業者登録の完了までに約1か月かかる為、計画的にCCUSに登録することが必要となります)
  • 技能者登録(事業者登録完了後に、技能者登録を行うこととなります。事業者登録&技能者登録で2か月みて頂ければと思います)を行う時に、技能者と所属事業者の関連付け
  • 元請と所属事業者の施工体制登録
  • 技能者の当該現場での『職種』と『立場』の登録・・職種、立場、作業内容を登録しないと現場に入場した記録は残っても、どのような立場で入場したか蓄積されません。

<参考>建設現場で使用する入退場デバイス

  • 建レコ(カードリーダー)
  • 認定API連携システム(電話発信、スマホ顔認証、カードリーダーQRコード、顔認証)
  • 電話(電話をかけるだけで入退場が登録可能)
  • ご自身の顔をスマホにかざして入退場が登録可能

4.CCUS登録までの流れ

▼事業者登録

➀【お客様】お問い合わせフォームもしくはLINE公式アカウント友達登録もしくはお電話にてご連絡下さい。

②【弊事務所】必要書類と費用を郵送・メール・FAXなどでご案内します。

➂【お客様】代行申請同意書に記名押印頂くとともに、必要書類を弊事務所までお送り下さい。

④【お客様】書類確認後請求書をメールにてお送り致しますので報酬のお振込みをお願い致します。

➄【弊事務所】CCUS登録代行申請を行います。

➅【CCUS運営主体】確認と審査が行われます。

⑦【お客様】CCUSから登録料の支払について案内がメールで届きますので、お支払いをお願いします。

⑧【お客様】事業者ID、管理者ID通知の受領(申請から事業者登録完了まで約1か月程度)

⑨【お客様】CCUS運営主体から翌月に登録責任者宛てで管理者IDの利用料請求書が送付されますのでお支払い下さい。

▼技能者登録

➀【お客様】お問い合わせフォームもしくはLINE公式アカウント友達登録もしくはお電話にてご連絡下さい。

②【弊事務所】必要書類と費用を郵送・メール・FAXなどでご案内します。

➂【お客様】必要書類をお送り下さい。

④【お客様】書類確認後請求書をメールにてお送り致しますので報酬のお振込みをお願い致します。

➄【弊事務所】CCUS登録代行申請を行います。

➅【CCUS運営主体】確認と審査が行われます。

⑦【お客様】CCUSから登録料の支払について案内がメールで届きますので、お支払いをお願いします。

⑧【お客様】建設キャリアアップカード受領、技能者ID通知、パスワードの受領(申請から技能者カードの発送まで約1か月程度)

尚、運転免許証、マイナンバーカードなどの写真付き身分証明書がない方は、弊事務所で登録代行を承ることができませんので、お手数ですがお近くの認定登録機関にご相談下さい。

5.弊事務所報酬と実費について

弊事務所報酬(税別) 個人の方弊事務所報酬(税別):法人実費費用:運営主体(CCUS)へ支払
個人事業主の場合一人親方登録料管理者 ID
(1)事業者登録25,000円30,000円30,000円5年間有効
資本金により6,000円~240万円
・個人事業主:6,000円
・資本金1,000万円以上2,000万円未満:24,000円 
資本金2,000万円以上5,000万円未満:48,000円 
一人親方はかからない
1IDあたり毎年11,400円

一人親方の管理者ID利用料は、2,400円
(2)技能者登録18,000円20,000円
同時技術者登録追加は1名につき+15,000円
詳細型4,900円-
(3)情報追加・保有資格・転職など変更登録8,000円5,000円別途見積--
一人親方は人を雇わず一人で事業をされている方。「請負契約を結んで施工体制に事業者として登録される立場」であれば事業所登録&技能者登録が必要。そうでなければ技能者登録のみでOK。