1.建設キャリアアップシステムの目的

建設業は、人の命を守る(安全・災害復旧)、豊かな生活を確保する(経済を支える)、暮らしを創る(インフラを整備する)という非常に重要な役割を担っていますが、建設業では仕事が多いにも関わらず、人手不足と高齢化が他の産業より進展しています。建設業就業者数は1999年には685万人でしたが、2022年には479万人となっています。また、建設業界に入職する若者は他の産業より少なく、高齢者が他の産業より多い状況となっています。↓下図は他産業と比較したときの建設業就業者の55歳以上、29歳以下の割合を表したもので、建設業デジタルハンドブックより。

東日本大震災、熊本地震、能登地震、各地で相次ぐ豪雨など、近年自然災害が頻発、激甚化する我が国で、建設業は震災からの復興、防災、減災、老朽化対策、インフラの維持管理など、その役割と重要性は益々増しています。しかし、建設業界は、依然として他産業に比べ労働時間が長く、現状完全な週休2日制にはなっていないこと、賃金も高いとは言えないこと、等により若者の就職希望先として他産業より不利ともいえる状況となっています。このままでは、日本の建設労働者の数は大きく目減りしてしまいます。都内の新築マンションは2023年平均価格が1億円を超えたようですが、資材価格の高騰に加え、建設労働者の時間外規制の適用、受給のミスマッチ(良い職人さんの奪い合い、職人さんへの賃金の上昇)により、建設コストは高い水準で推移すると見込まれています。家を買いたくても高すぎてなかなか買えない、マンションを修繕しようとしても、修繕積立金が不足しており、修繕がなかなか進まない、家をリフォームしようにも、以前より多くの費用がかかり、簡単にはリフォームに踏み切れない、外国人を雇用しようにも、日本より賃金の良い韓国など他の国に取られてしまうなど、建設人材の不足は、私たちの生活に非常に深刻な影響を与えます。

建設キャリアアップシステム(以下、CCUS)は、技能者の資格や、社会保険加入状況、現場の就業履歴などを業界横断的に、登録・蓄積する仕組みです。技能者のレベルが明確になることで能力が請負代金に反映され、そして技能者の賃金上昇につながることを目指しています。CCUSの能力評価に応じた賃金の実態を踏まえ、公共工事設計労務単価が賃金として行き渡った場合に考えられるレベル別年収を試算し公表しています。年収試算の公表を通じて、技能者の経験に応じた処遇と、若い世代がキャリアパスの見通しを持てる産業を目指しています。

「レベルが上がるということ」=「資格を取るということと経験値が上がるということ」なので、「資格給」ということでお給料に反映させる事業者もあるようです(リンク:建設人材育成優良企業表彰 国土交通大臣賞 受賞者一覧優秀賞 受賞者一覧)。色々な資格を取得し、経験を積み、切磋琢磨して技能者として成長することが期待されています。建設業界に若い人が入職したいと思ってもらえるようにするために、官民をあげて普及を推進しているのがCCUSなのです。外国人技能実習、特定技能の受け入れには建設キャリアアップシステムCCUSへの登録が義務化されています。CCUSへの登録がますます重要になってきます。

↑建設業セミナー2024(2024/4/15)での国土交通省 不動産 建設経済局 建設市場整備課 建設キャリアアップシステム推進室長 松野様資料より引用↓

2.CCUSの利用状況と普及促進への取組

2019年の運用開始以来、2024年で5年が経ちましたが、今では技能者の138万人(技能者の約1/3)、事業者の25.6万社(事業者の半分超)がCCUSに登録し、現場での利用数は月400万件タッチとなっているようです。しかし、現場でしっかり【カードタッチを行い】→【能力評価レベル判定】→【処遇改善への道】はまだまだ道半ばのようです。そこで公共工事のモデル工事ではCCUSの利用が評価で加点される仕組みや、経営事項審査ではCCUSで現場・契約情報を登録し、入退場履歴を記録する体制があれば加点される仕組みが始まっています。また、導入コストや手間暇を抑えるための取組として、1台あたり約3500円の安価なカードリーダーも新たに利用できるようになったり、2024年1月からは建レコがインストールされた iphoneの裏にCCUSカードをタッチすることで就業履歴が蓄積されたり、電話をかければ就業履歴を蓄積できるキャリアリンクの簡易版の初期費用を無料にするキャンペーンも行われています。さらに、CCUSだけで施工体制台帳の作成が完結するよう、施工体制台帳の作成に必要な情報を追加登録できるよう機能が拡充され、CCUSで、施工体制台帳、施工体系図、下請負業者編成表、再下請通知書、作業員名簿も作成可能となっています。↓下図はタッチ数、技能者登録数、事業者登録数の推移を表したもので、建設業デジタルハンドブックより。

3.CCUSのメリットと注意点

誰にとって?メリット費用や注意点
(1)技能者●技能や経験の簡易で客観的な蓄積:CCUSでどこの現場でも共通のルールで自動的に就業履歴が蓄積できる。
●賃金交渉の一助に:国交省が公表しているレベル別年収と自身の年収を比較して、適切な賃金をもらえるよう交渉していくことができる。
リンク:CCUSの能力評価等を反映した手当支給
●転職の際:自身の実績や技能を客観的に証明できて有利。
●建退共証紙の貼付状況の容易な確認:就業履歴を記録蓄積することで、建退共の電子給付を受けることが可能。
●登録料(詳細型)が4900円かかる(10年有効)。
なお登録時に60歳以上の方の有効期限は14年。
簡略型は2500円で済みますが、能力評価制度(レベル判定)が利用できないのであまりオススメしません。
(2)事業者●社会保険加入状況などの確認の効率化:現場に入場する技能者ひとりひとりについて、社会保険の加入状況等の確認が効率化される。
●現場の入場管理等の効率化:入退管理システム(建レコ、グリーンサイト、キャリアリンク)とAPI連携し、技能者の就業状況等を容易に確認できる。
●経審で加点:経審Z点(技術力)でレベル3・4はそれぞれ加点。W点(社会性等)でも、過去3年のレベルアップ技能者割合を算出して加点。さらに、元請として現場運用した場合も加点。
●書類作成の簡素化・効率化:安全衛生帳票書類(施工体制台帳、作業員名簿等)がCCUSで出力可能
●建退共事務の効率化:CCUSに蓄積されたデータを取り込み、就労実績ファイルを作成することで建退共の退職金ポイントが技能労働者に対して直接付与されるので、証紙購入や交付が不要となる。
●特定技能の外国人材の受け入れにはCCUSへの登録が必須
●登録料がかかる。
資本金の額に応じ6,000円~240万円 一人親方はかからない。
●毎年管理者IDがかかる。
1IDにつき11,400円 一人親方は2,400円
●システムにおいて現場・契約情報を登録した事業者(元請事業者)に対し1人日・現場あたり10円の現場利用料がかかる。
例)20 人の技能者が50 日就業した場合 20人×50日×10円=10,000円

<注意点:CCUS蓄積データの活用には事前に情報の登録が必要>
★元請事業者として現場を開設する事業者は、現場を開設する際に現場・契約情報を登録する必要があります。(元請の現場の登録
★元請と各下請で施工体制登録を行い(元・下の施工体制登録)し、各下請事業者は、自社に所属する技能者の情報(氏名、職種、立場等)を登録する必要があります。(元・下の施工体制技能者登録
◎現場の登録、施工体制の登録という作業を経て、就業履歴を蓄積することで、いつ、どの現場で、どの職種で、どの立場で働いたのか、日々の就業実績として電子的に記録・蓄積されます。(就業履歴の蓄積

4.CCUS登録までの流れ

▼事業者登録

➀【お客様】お問い合わせフォームもしくはLINE公式アカウント友達登録もしくはお電話にてご連絡下さい。

②【弊事務所】必要書類と費用を郵送・メール・FAXなどでご案内します。

➂【お客様】必要書類をお送り下さい。

④【お客様】書類確認後請求書をメールにてお送り致しますので報酬のお振込みをお願い致します。

➄【弊事務所】CCUS登録代行申請を行います。

➅【CCUS運営主体】確認と審査が行われます。

⑦【お客様】CCUSから登録料の支払について案内がメールで届きますので、お支払いをお願いします。

⑧【お客様】事業者ID、管理者ID通知の受領(申請から事業者登録完了まで約1か月程度)

⑨【お客様】CCUS運営主体から翌月に登録責任者宛てで管理者IDの利用料請求書が送付されますのでお支払い下さい。

▼技能者登録

➀【お客様】お問い合わせフォームもしくはLINE公式アカウント友達登録もしくはお電話にてご連絡下さい。

②【弊事務所】必要書類と費用を郵送・メール・FAXなどでご案内します。

➂【お客様】必要書類をお送り下さい。

④【お客様】書類確認後請求書をメールにてお送り致しますので報酬のお振込みをお願い致します。

➄【弊事務所】CCUS登録代行申請を行います。

➅【CCUS運営主体】確認と審査が行われます。

⑦【お客様】CCUSから登録料の支払について案内がメールで届きますので、お支払いをお願いします。

⑧【お客様】建設キャリアアップカード受領、技能者ID通知、パスワードの受領(申請から技能者カードの発送まで約1か月程度)

尚、運転免許証、マイナンバーカードなどの写真付き身分証明書がない方は、弊事務所で登録代行を承ることができませんので、お手数ですがお近くの認定登録機関にご相談下さい。

5.弊事務所報酬と実費について

弊事務所報酬(税別) 個人の方弊事務所報酬(税別):法人実費費用:運営主体(CCUS)へ支払
個人事業主の場合一人親方登録料管理者 ID
(1)事業者登録25,000円30,000円30,000円5年間有効
資本金により6,000円~240万円
・個人事業主:6,000円
・資本金1,000万円以上2,000万円未満:24,000円 
資本金2,000万円以上5,000万円未満:48,000円 
一人親方はかからない
1IDあたり毎年11,400円

一人親方の管理者ID利用料は、2,400円
(2)技能者登録18,000円20,000円
同時技術者登録追加は1名につき+15,000円
詳細型4,900円-
(3)情報追加・保有資格・転職など変更登録8,000円5,000円別途見積--
一人親方は人を雇わず一人で事業をされている方。「請負契約を結んで施工体制に事業者として登録される立場」であれば事業所登録&技能者登録が必要。そうでなければ技能者登録のみでOK。